リオデジャネイロオリンピック・パラリンピックが終わり、いよいよ2020年には東京大会です。わずか4年後に迫る中、現在の東京の不動産市況は好調です。果たしてこの好調ぶりは東京オリンピックまで続くのでしょうか?
不動産投資を取り巻く環境
まず今の状況を見てみましょう。国土交通省の発表している2016年8月の不動産市場動向マンスリーレポートのデータによると、首都圏の中古マンションの成約平均価格は前年同月比4.5%上昇の2,999万円となっています。これは、43ヵ月連続して前年同月を上回っているのです。
賃料に関しても、2016年5月の首都圏のマンション賃料指数は109.3ポイント(2005年1月を100として計算)と、好調な推移を続けています。
マンションは、買う価格も借りる価格も上昇傾向にあるのです。
さらに不動産投資にとって追い風となっているのが、マイナス金利政策による金利の低下です。不動産投資は、その性質上多額の資金を用意する必要があります。しかし、マイナス金利政策導入のおかげで、銀行などからの借り入れの際の金利もずいぶん低くなっています。不動産投資に必要な資金を低金利で借りられるのです。
一部で過熱を指摘する声もあるが……
不動産投資に対して好環境が続いていますが、今後の見通しはどうなのでしょうか。
三井住友トラスト基礎研究所のレポート「2016年不動産市場の見通しと注目点」は、「賃貸市場は引き続き堅調、売買市場は価格が過熱気味で推移し概ね晴天続き」と見込んでいます。一方、「世界の経済、政治、金融市場では不確実性が増しているため、さまざまなイベントによる市場の動揺を覚悟する必要がありそうである」とも予測しています。
このレポートの記述のように、一部では過熱感が指摘されています。マスメディアでは「ミニバブル」という表現も見られます。たしかにここ数年好調だった分、これからも上がり続けるとは言えないでしょう。時には価格が下がることもあるはずです。
しかし選手村ができる臨海部の開発や、五輪関連以外でも山手線新駅の建設が予定されるなど、これから数年、東京の不動産市場が順調に推移するといえる材料は多数あります。
東京オリンピックに向けた不動産投資の戦略
これから東京オリンピックまで、そしてその先を見据えて不動産投資をしようと考えている投資家には、どういう戦略が求められるのでしょうか。
まず物件購入のタイミングにはいつも以上に気をつけたいものです。たとえば右肩上がりに価格が上昇している時は、いつ物件を購入しても利益を見込めるでしょう。しかし、価格が上下を繰り返すような場合は、そうはいきません。市場に過熱感が出ているとも言われていますから、一度価格が下がったときを待つ手もあるかもしれません。
物件を買ったら今度は「いつ売るか」、そのタイミングを見極める必要があります。いわゆる「出口戦略をたてる」わけです。購入時点である程度その予定をたてているはずですが、もしそう遠くないうちに売却まで視野に入れているなら、特にタイミングには留意して購入したいものです。価格が上下している中では、売却しなければいけないタイミングに価格がちょうど下がっているかもしれません。
東京オリンピックまでは長いようで後たった4年しかありません。それまで保有し続けるつもりか、それとも五輪後も持ち続けるのか、綿密な計画と戦略をたてておくべきでしょう。たとえ当面売るつもりはなくても、購入した後も不動産価格に目を光らせておき、下がりそうになったら予定を変更して売却することも考える必要があります。
物件購入のエリアをよく選ぶのもポイントの一つです。先ほども触れたように、選手村ができる臨海部、湾岸エリアは価格上昇が著しいと言われています。その他にも、オリンピックまでの期間に新駅ができたり、再開発が進んだりしているエリアがあります。そうしたエリアへのアクセスがいい地域を選ぶということも選択肢になるでしょう。
オリンピックへの期待で活況が続いてきた不動産市場。これまで上がってきたものがこれからも上がり続けるとは限りません。また東京の不動産価格が上がっているからといって、東京ならどこでも良いというわけではありません。東京ではまだこれからも開発が続きます。勢いに対する期待を持ちながら、常に冷静な目でリスクを計算して不動産投資を成功させましょう。
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